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第32回定例研修会
保健室で非行の子と向き合う

講師:富山芙美子先生

◇感想◇

受付を頼まれていたので、早く会場に着くと「運動会を控えて」とお忙しそうにしながらも 1番においでいただいた富山先生。養護教諭として、教師として、女性としてあこがれの富山先生。 やわらかな笑顔、ちょっとかすれたような深くやさしい声、たっぷり富山節をお聴きできた至福の時間でした。

1、子どもの特徴とそのとらえ方について

 世の中に養護教諭の仕事が特にクローズアップされてきたのは、ここ10年位のことですが、保健室はずーっと前から生きづらさを持つ子たちでいっぱいでした。 富山先生はその保健室で、暖かく子どもを支援し続けてこられました。 「新しい荒れ」については、あちこちでいろんなことが言われていますが、富山先生の確かな視点で「人間的無感覚さ、見捨てられ不安、ヒマ感覚」など 今の子どもたちの持つ危機を分析されました。

 私たち養護教諭の合言葉は「子どもをまるごととらえる」です。 からだや心に傷ついて保健室にきた子どもに「背景に何があるのだろう。 育ちのどこでつまづいているのだろう。 この子の教育課題はなんだろう。」と子どもに寄り添ってとりくみます。 でも、最近の子どもたちがからむ事件のすさまじさに「いったい子どもたちに何が起きているのだろう。」と 私自身立ちすくんでいました。

けれども、富山先生の「子どもの引き起こす言動の現象に振り回されない」というお話をうかがって 目が覚めた思いでした。 子どもがどんな形でSOSを出してきても、たじろがないで、富山先生はじめ、養護教諭の先輩方が築き上げられた 「子どもをまるごととらえる」という原点を忘れないこと。

2、事例から

以前富山先生と「中学校って毎日がドラマ」と、お話したことがありました。 富山先生の実践は3年B組金八先生や中学生日記のモデルになりましたが、テレビでなくとも現実の中学校は、 泣いたり感動したり、いろんな事件が次々に起きます。 私はその度に富山実践を思い出します。 富山先生が書かれた本やレポートは、そのひとつ、ひとつの実践に普遍的なものがちりばめられていて、 私の「バイブル」になっています。 今回もうかがったAさんの事例は、私が中学生の性の問題に出会うたびに繰り返し読んでお手本にしてきました。

禁煙指導ひとつにしても、タバコの害を教えるにとどまらず、からだの素晴らしさまで発展させる実践をされています。 中学生の喫煙がほとんど非行とからまっている点に注目し、健康認識を育てる過程で、吸っている仲間を見殺しにしない勇気や友情の大事さを育てるとりくみもなさっています。

3、保健室の機能、養護教諭の仕事

 学校にスクールカウンセラー・メンタルフレンド・看護師(養護学校などで)など 新しい職種の方を迎える一方、保健主事・衛生推進者・教科保健の兼務などが養護教諭の仕事となっている学校もあります。  富山先生の「養護教諭の仕事は子どものからだや心の実態に真正面から取り組み、 子どもの人格形成に深くかかわって発育、発達、自立をすすめること」というお話や、保健室の機能の分析をお聞きして 養護教諭自身でさえ、ちょっと見失いそうな本質を頭の中で、すっきり整理できました。

4、つなぐ、広がる。

養護教諭の仕事のキーワードのひとつが「みんなでとりくむ」です。 「みんな」を大きく分けると学校の中と外。 富山先生にまず、教職員集団や保護者との連携のポイントをお話いただきました。そしてこれからますます重要になる医療機関や相談機関、保健所や保健センターなどの行政機関などとの学校外の連携。 この「地域ネット」自体が、こうした意味ですばらしいなと参加させていただいていますが、 今回養護教諭以外の方々にも養護教諭について深く理解していただけたのは、富山先生のお話ならでは、とうれしい時間でした。


柏五中養護教諭 須永道代