地域の児童・青少年の健全な成長をサポートするために立ち上がったネットワークです

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第35回定例研修会
リストカットの世界

講師:工藤剛先生(NPO法人地域学校精神保健福祉ネットワーク)

◇感想◇

医療機関や少年矯正施設、児童相談所で働いている工藤先生なので、最初はいろいろなケースを紹介しながら 体験的にお話をなさるのではないか、と予想していました。
しかし、実際には、各種の理論や学説などをとてもまとまった形で紹介し、それに添って話をすすめていました。  私は、リストカットにかかわる医療的学問的な位置づけをこんなに鮮やかに聞いたことはなかったので、 とても新鮮でした。そしてその中で、被虐待体験のフラッシュバックと関係があること、対人関係の葛藤を引き金として起こりやすいこと、 境界性人格障害にリストカットが多く見られること、などは実際のケースを思い浮かべても納得できるもので、 大変参考になりました。

特に、摂食障害や薬物依存の子どもたちの多くにリストカットが見られる、という事に関しては、 リストカットに頼ってやっと生きている子どもたちの姿が浮かんできて、やるせない気持ちになりました。  会場では、リストカットの子どもたちへの支援方法についてのディスカッションが行われました。 その中で確認されたのは、「ちょっとやってみた」という印象を受ける軽い子には 「やめてね」と言って収まる場合もあるが、基本的にはリストカットをしないではいられない 心の方にそっと触れるような対応が必要ではないか、ということでした。 リストカットと一口に言っても、その闇の深さは人によりさまざまであり、誠実にやれる支援をやっていくしかないわけです。 だからこそ難しいと感じた場合は、熟練者に相談しながらすすめるというのも大事です。 このネットワークはそういうときに力になれるのではないか、と感じたのでした。

◇講師・内容紹介◇

 NPO法人 地域学校精神保健福祉ネットワーク代表 工藤剛氏は、 臨床心理士として、病院や児童相談所等で幅広く活躍しています。 現在では若者のサブカルチャーの1つとして考えられているリストカットについて、その実情の理解を学びます。 その背景、特徴及び予防対策を事例を通じて概説します。 また、薬物乱用・依存、摂食障害との関連についても言及します。


高校教諭 和井田節子